【村上木彫堆朱】年々味わい深くなる工芸品

【村上木彫堆朱】年々味わい深くなる工芸品

2025年1月31日

村上木彫堆朱とは

 堆朱(ついしゅ)は、中国・唐代で始まり、今から800年以上前の平安末期から鎌倉初期に日本に伝来したと言われています。その後新潟県村上市では、良質な天然漆を多く産出していたことから、堆朱の技法が確立し、武家のたしなみとして、江戸時代中期に”村上木彫堆朱(むらかみきぼりついしゅ)”が武士の間で始まりました。今では、新潟県文化財や国の伝統的工芸品に指定されています。

 一般的な堆朱は、木地に漆を何度か重ね塗りした後に、彫刻を施しますが、村上木彫堆朱は、木地に彫刻を施した後に、漆を何度か重ね塗りするのが特徴的です。硬めの漆を用いることで、繊細な彫りに漆が流れこみ、図柄や模様が埋まるのを防いでいます。

 さらに、漆の重ね塗りが終わった後に、つや消しを施しているのも特徴的です。使えば使うほど、つやが増していくため、年々味わい深くなっていくのも魅力の一つです。

 木彫の上に漆を重ね塗りしてから朱を塗る”堆朱”や、黒漆を用いて黒を塗る”堆黒(ついこく)”、色漆を用いて彩豊かにする”色漆塗(いろうるしぬり)”など、計6種類の技法をひとまとめにして”村上木彫堆朱”と呼ばれています。

 天然の漆を使用しているため、丈夫で傷がつきにくく、高い抗菌効果や殺菌効果に期待できます。器や箸、ぐい呑み、鏡などの日常品や、結婚証明書などの記念に残るものなど、製品の種類は数多くあり、値段も様々です。近年では、アクセサリーやストラップなど、身につけられるものも増えてきています。

村上市ってどんなところ?

 新潟県の最北端に位置している村上市は、笹川流れや荒川などの海や川、朝日連峰や臥牛山(がぎゅうざん)などの山々があり、四季折々の豊かな自然を楽しむことができます。風情ある城下町には、今でも城跡や武家屋敷などが残っています。

 また、新潟コシヒカリの三大産地である岩船で生産されている”岩船米”や村上市など限られた地域で飼育されたブランド牛の”村上牛”など、グルメも豊富です。

 さらに、「”さけ”のまち」と言われており、鮭の酒(さか)びたしや塩引き鮭などの鮭、〆張鶴(しめはりつる)や大洋盛(たいようざかり)などの地酒も有名です。

どこで購入できる?

 村上市内の漆工房や漆器店で購入することができます。また、オンラインショップでも販売されているので、現地に行かなくても購入することができます。

 さらに、村上木彫堆朱会館では、購入可能なギャラリーや職人さんの作業部屋があります。そちらでは彫っている姿を見学できたり、実際に彫る体験ができたりしますので、村上市を訪れた際には、是非お立ち寄りください。

イベントの開催

 毎年3月には”堆朱まつり”が開催されています。堆朱製品の展示販売が行われ、いつもよりも少しお得にお買い物をすることができます。また、着物を着てお買い物をするとさらにお得なことがあります。

 さらに、期間中は”城下町村上 町屋の人形さま巡り”も開催しているため、多くの観光客で賑わっています。こちらは、各々の家で代々受け継がれる、ひな人形や武者人形などのお人形さまを、参加店や個人宅に飾り、”お人形さま巡り”や”まち歩き”、貴重な”町屋の内部見学”を楽しむイベントです。無料で公開されていますが、マナーを守ってお楽しみください。

 是非ダブル開催されている期間中に足を運び、”城下町村上”を存分に感じてみてください。

終わりに

 木工品を加工し製作する”木地師(きじし)”、木地に彫刻を施す”彫師(ほりし)”、木地に漆を塗る”塗師(ぬし)”の、主に3分野の職人さんたちの手によって、美しく精巧に完成する”村上木彫堆朱”。職人さんたちの思いがこもった製品を、1人でも多くの方に手に取っていただき、魅力や奥深さを感じていただきたいです。

漆器の写真
※画像はイメージです。(画像引用:photoAC)

※アイキャッチ画像はイメージです。(画像引用:photoAC)