洋梨と言ったら
突然ですが、洋梨と言ったら何をイメージしますか?一般的には”ラ・フランス”をイメージする方が多いかもしれません。しかし、新潟県では”ル レクチエ(ル レクチェ)”という洋梨をイメージする方が多いです。
なぜならば、ル レクチエは主に新潟県で作られているからです。”ル レクチエ”は栽培が難しいことから、”ラ・フランス”よりも希少で、高価です。その希少性や味わいから、「西洋梨の貴婦人」とも呼ばれています。
ル レクチエとラ・フランスの違い
ル レクチエもラ・フランスも、どちらもフランス原産の洋梨ですが、ル レクチエは新潟県で、ラ・フランスは山形県で主に栽培されています。
どちらも柔らかい食感で、形もほぼ同じですが、大きさを比べると、ル レクチエの方が一回りくらい大きいです。
また、果肉はほぼ同じような色をしていますが、果皮には違いがあります。ル レクチエは黄色、ラ・フランスは黄緑色をしています。このように皮付きの状態だと、見た目に明らかな違いがありますが、切ってしまうと大きさが変わってしまい、色もほぼ同じに見えてしまうため、分からなくなってしまうことがあります。赤リンゴと青リンゴとの違いに似ています。
切った状態で見分けをつけるには、「香り」や「舌触り」がポイントになってきます。ル レクチエは芳醇で上品な香りが強く漂い、ラ・フランスは爽やかな香りがうっすらと漂います。
また、ル レクチエはなめらかな舌触りで、ラ・フランスはややザラッとした舌触りと、特徴がハッキリと表れます。しかし、舌触りは口にしないと分からないので、ハッキリとした違いは「香り」にあると言えます。
味はどちらも甘いのですが、”ル レクチエ”は酸味が少なめなため、甘い果物が好きな方や、香りや味が濃厚めが好きな方におすすめです。
”ラ・フランス”は、甘味と酸味のバランスが絶妙なため、甘さの中にも酸味が欲しい方や、スッキリとした味わいが好きな方におすすめです。
それぞれに表1のような特徴がありますので、是非食べ比べてみてください。
項目/品種 | ル レクチエ | ラ・フランス |
---|---|---|
原産国 | フランス | フランス |
主な産地 | 新潟県 | 山形県 |
果皮の色 | 黄色 | 黄緑色 |
果肉の色 | 薄黄色 | 薄黄緑色 |
香り | 芳醇で 上品な香り | うっすらと 爽やかな香り |
味 | 甘味>酸味 濃厚な味わい | 甘味=酸味 後味スッキリ |
舌触り | トロッと なめらか | ややザラッと |
糖度 | 16度以上 | 14度~15度 |
旬 | 11月下旬~ 12月中旬 | 10月中旬~ 12月 |
食べ頃はいつ?
ル レクチエの食べ頃には3つのポイントがあります。
- 果皮の色が全体的に鮮やかな黄色になったら
- ヘタが黒色になり、しわしわになったら
- 甘く上品な香りがしてきたら
以上の3つが揃ったら、食べ頃です。食べ頃になるまでは、直射日光を避け、常温で保存してください。また、冷蔵庫や箱などの密閉された場所での保存は、傷みが早くなってしまうので、お気をつけください。
ル レクチエの効能とは
なめらかで柔らかいため、年代を問わず食べやすいル レクチエですが、実は、果糖(フルクトース)やブドウ糖、食物繊維、カリウムなど、豊富な栄養が含まれており、様々な効能に期待できます。
果糖(フルクトース)は、代謝が早く、腸管での吸収が遅いため、血糖値上昇の抑制に期待できます。
ブドウ糖は、脳や筋肉のエネルギー源となり、集中力や記憶力の向上に期待できます。さらに、タンパク質よりも早くエネルギーに変換されるため、即効性にも期待できます。
食物繊維は、整腸作用による便秘の解消や、食べ過ぎ防止、コレステロールの吸収抑制に期待できるほか、果糖(フルクトース)同様に、血糖値上昇の抑制にも期待できます。
カリウムは、体の恒常性維持(ホメオスタシス)*¹に期待できます。
以上のような栄養が豊富に含まれていますが、食べ過ぎはカロリーや糖質の過剰摂取で、生活習慣病や肥満につながったり、食物繊維の摂り過ぎで、下痢になったりする可能性があります。1日の摂取目安を守り、食べ過ぎないようにお気をつけください。
農林水産省食事バランスガイド早分かり(外部リンク)
※体の恒常性維持(ホメオスタシス)*¹・・・エネルギー代謝や免疫などの生理機能を正常に保ち、生命活動が維持される。
終わりに
栽培が難しいことから希少性が高く、”ラ・フランス”に比べて旬も短い”西洋梨の貴婦人”について知っていただけたでしょうか。上品な香りも楽しみながら、栄養満点な”ル レクチエ”を是非一度召し上がってみてください。

※アイキャッチ画像はイメージです。(画像引用:photoAC)